最近の金融危機について、比較的簡単にまとめられている一冊です。
この本を読もうと思ったきっかけは、経済学部生としてサブプライムを発端とする現代の金融危機について知識があまりにも不足しているという問題意識があった事でした。
そういうアンテナを張った状態で新聞・テレビ・雑誌などを眺めていたら、テレビ番組でこの本が紹介されているのをみつけました。
都内某書店の売上1位(テレビでは書店名は公開されなかったけど、おそらく丸善日本橋店)となっていたので、次の日に即買いでした。
ちなみに、買ったのは紀伊国屋書店横浜店、最後の1部でした。
まず、驚いたのが長さ。
70ページくらいしかないんです。
でも、金子勝氏が書き続けていた色々な書籍の総まとめのような形だった事もあり、内容が非常に充実してて、ビックリでした。
本を読むくせがついてない人にはちょうどいい内容・長さだと思うので、すごい勧めます。
内容については…
サブプライム危機の解説が分かりやすかったです。
各金融機関が、リスク資産のリスク度合いの算定を格付け機関に頼っていた現状を知り、恐ろしいなと感じました。
なんで、どこの会社もリスクに気づかなかったんだろう?
リスクに気づく格付け会社が現れて、誤った情報を発信している格付け会社が淘汰されてもいいはずなのに。
あと、「影の銀行システム」についての説明も、非常に明快でした。
証券会社などが信用を供給できるようになったという、体制シフトも一つの要因のようです。
一番印象の残ったのは、「次にどうなるか?」に関する著者の見解。
金子氏の著書『閉塞経済』にあるように、石油の時代が終焉、環境問題、などを受けて、新しい経済の在りかたが問われているのだと感じました。
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アメリカドルの、非常に大きな危機を迎えています。
不動産市場を安定させるには、ある程度の国債を発行せざるを得ない。
ただ、イラク戦争関連で莫大な出費を既にしているし、これ以上の国債が果たして発行できるのか?という問題がある。
アメリカの国債は、中国・ロシア・中東諸国といった、アメリカの同盟国とは呼べない国々によって支えられている、という現状があって非常に怪しい。
そろそろ機軸通貨がEUになる時代が来るんですかね?
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もう一つ印象に残ったのは、石油とグローバリゼーションについて。
石油価格上昇⇒輸送費の上昇⇒モノのグローバリゼーションの縮小
という構図が描かれていました。
僕の感想は、カネのグローバリゼーションが拡大していった結果、モノのグローバリゼーションが縮小していくのは非常に皮肉な結果で、残念な事に思えます。
日本は内需に頼るだけの経済力は残っていないのに…
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