2008年10月30日木曜日
『イスラム金融はなぜ強い』(吉田悦章)
とりあえず、簡単に概要だけ知っておこう、と思って書店でみつけたのが本書。
全く無知な私に対して、非常に分かりやすくイスラム金融を説明してくれました。
イスラム金融とは、簡単に言うと「利子・豚・酒などのイスラムで禁止されている事項を廃除した金融商品の売買にまつわる物事」で、このような金融商品の存在によりイスラムの人たちも、教義に反する事なく金融取引を行う事ができる。
例えば、ムダラバという手段は、
資金提供者:資産運用を委託する
運用サイド:資産運用を行い、手数料を取る
という形を取る事によって、金利という概念を用いずに金利に似た経済効果を生み出す。
第一反応としては、「なんでこんなに面倒なことをしなければならないのだろう?」という気がした。
でも、よくよく考えてみると、こういうスキームがあるからHappyな人たちがいて、供給が経済的に可能であれば良いのかな~という感じだった。
経済学だと、効用関数として商品のHappy が測られる(という事になっている)けど、ファイナンスだと個人のHappyは無視。
ファイナンス理論の世界では、「人々はお金が多くなるように行動する」という常識があるよね。
僕は去年から疑問に思っていたんだけど、ようやくここにきて反例がみつかりました。
「お金は全部一緒」ではなく、「どこから来るお金か、という出所によっては違う」んじゃないかな?
なんて、色々考えながら読んでいました。
銀行法とかがイスラム金融の障壁になっている、とか聞いて興味深かったけど、長期的にはそんな法律は変わってしまって、どんどん普及していくんだろうな~。
2008年10月27日月曜日
The next wave of Philanthropy
本じゃないけど、誰もが簡単にアクセスメディアだから、これに関するフィードバックも有益かなと思ってかいています。
個人的に一番印象に残っているのが、「株主に利益を与えないが、世界に利益を与える活動のために、Googleの利益1%を使う」という経営理念。
やっぱり、「シェアホルダーのための企業」っていうのは正しくないな、って感じました。
最初に企業の経営方針・理念があって、それに賛同する人たちが投資をする。
株主総会での議決権・拒否権っていうのは、既存株主に対して大きな損害をもたらすような場合にだけ使われるべきなんですかね?
でも、万人の共通の関心として通用する政策って、やっぱり金しかないのかな?
とすると、大きなお金を集めなければならない大企業であればあるほど、結局は配当が全てになっちゃうんですかね。
こんな事を考えながら聞いていました。
2008年10月26日日曜日
外資系トップの仕事力Ⅱ(ISSコンサルティング)
タイトルは「仕事力」ですが、内容は各人の生き方全般についてです。
僕は、どういう勉強して、どこに就職して…という人生戦略の立て方の参考として読んでみたのですが、印象に残った事が2点あります。
一点目は、彼らのキャリアアップ方式が2通りに分けられるという事。
つまり、
- 特定のエリート集団出身で、かなりの高ポジションで入社し、そこから社長になった人
- 新人から同じ会社(or業界)に属し続け、そのまま成長し続けてきた人
でも、この本を読むと、「エリート集団」の中に「P&G入社」っていうのも含まれてる感じがしてくるかな。
まぁ、各人の経歴を読んでみれば分かります。
二点目、外資系は「日本ではなく世界と勝負できる環境」がある、という事
これは、誰かが(付箋し忘れたので分からなくなったのですが)言ってた事ですが…
自分の中で、「日系」と「外資」との間で比較をする事が多いので、その違いが明確に出る物の見方だな~という事で印象に残りました。
もちろん、日本企業は「日本のため」になる、という意味では外資にはかなわないし、互いにいい面と悪い面があるのは承知なんだけど。
力強い言葉・生き方が刻まれてる本なので、時々読み返してみたいなと思える内容だと思います。
2008年10月24日金曜日
IDEA HACKS!
一つ一つは結構参考になるのですが、一方で全体として何がいいたいのかが良く分からない感じでした。
著者のブログにコメントで聞いてみたけど、返ってくるのでしょうか?
でも、アイデアはいい物が並んでいると思うので、参考にしてみるといいでしょう。
以下に参考になった部分を引用・要約し、コメント・個人的フィードバックを加えます。
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・ノートは一冊にする。
確かに、色々アイデア・ToDoなどを書き連ねてると、どこに何を書いたか分からなくなっちゃうんですよね。
でも、著者は別の項目で「ToDoリストは複数持つ」とも書いています。
ちょっと矛盾してる気がしますね。
でも、メモする用の物は一つにまとめた方がいいと思います。
僕は、手帳の最後の方の空白ページが結構沢山あるので、それを利用しています。
著者の方は、忙しいようで、四半期に1冊ノートを使い切るそうですが…
・Freemindを利用してマインドマップを作る
なるほど、このソフトの存在は知りませんでした。
絵などは描きにくいけど、見た目が整理されるから、デジタルでやった方がいい場合も多いですよね。
参考にしてみます。
http://www.freemind-club.com/download.htm
・15分以上かかる予定はスケジュールに組み込む
学生団体に所属していると、予定がころころ変わるので、僕にはあまり向かなさそうです。
でも、最近はサークルとかよりも自分の立てた予定優先してるから、ある程度はOKかもしれないですね。
「あ、ゴメン。その時間は、フランス語勉強して、本読むって予定が入ってるから空いてないんだ~」って言ったらどうなるんだろう?笑
・思考する環境を作る、手に入れる
自分は部屋で考えるのが一番落ち着きます。
横にある本棚にはいい情報が沢山蓄積されてるし、音楽も好きに流せるし。
窓からの景色も非常に落ち着いていて、最高です。
でも、自宅とは別のところに、思考する環境を作ってみたいですよね。
大学は、集中しやすいよいで、なかなか誘惑が多いからなぁ~。
3時間千円くらい出してもいいから、いい場所無いかな~。
・いい物を沢山見る
当たり前ですが、自分の思考は、自分の経験に制限されるわけです。
だから、色々経験すると、色々なアイデアが出せるようになる。
でも、お金が…。苦笑
・話す時に、結論を先に言わず、前提条件を出してから話す。
自分は、言われる前からそれができていたような気もするんですが…。
そうすると、枠の外にある無意味な反論は来なくなります。
「それは、Aという前提から排除されてるよね。」って感じで。
・マトリックスの掛け算
SWOT分析をさらに掛け合わせるっていう考え方は、興味深かったです。
SWOT分析って形式的で、何か不足してるな~って思ってたのが、これを読んで解決しました。
まだアウトプットには活かしてないけど…
これは、ここに書くとマズそうなので、187ページ参照、としておきましょうか。
・視点を入れ替える
相手の視点に立つ、第三者の視点から考える。
これによって、新しいアイデアが出るのは…当たり前なんだけどできてない。笑
・自分の必勝パターンを持つ
う~ん、これが持てると強いよね。
一回考えて見ます。
・迷ったら、とにかく人に話せ。
相手が信頼できる人である、っていうのが大前提だけど。
でも、相手に説明すると、客観的に物事を捉えられるし、凄い大事な事です。
これからは、どんどんオープンにしてみようかな。
ウェブでも対人でも。
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あと、この本には、11のおまけハックがウェブから見れます。
詳しくは、著者のブログ参照。http://ryu2net.typepad.jp/idea_hacks/
でも、具体的なアウトプットを出す方法につながる、いい本だと思いました。
2008年10月19日日曜日
Supercapitalism (Robert B. Reich)
資本主義と民主主義の対立が描かれているのですが、
"The unaccountable power of large corporations seemed inconsistent with democracy."(p.22)
とあり、その後は規制の話になって
"By the middle of the 20th century, around 15% of the nation's economy was directly regulated."(p.24)
だそうです。
そこでBerley&Means の有名な著書が出てきて
"top executives of America's giant companies were not even accountable to their own shareholders but operated the companies 'in their own interest, and divert[ed] a portion of the asset fund to their own uses.'"
と要約されます。
僕の問題意識として、
- ミクロ経済学において企業は人と同じように並ぶ主体なのか?
- 企業は人から構成される集合体に過ぎないのではないか?
というのがあったので、ちょっと考えてしまいました。
これは、企業の利潤最大化原則が国民感情に触れたために妨害されたケースではないか?
企業はやっぱり人から構成される集合体ではないのか?
なんてね。
今後の研究の参考になるかもしれないので、こちらに記録として残しておきます。
『1回の会議・打ち合わせで必ず結果を出す技術』(斉藤岳)
これはまずい、と思い、本棚にあった『1回の会議・打ち合わせで駆らず結論を出す技術』を読み直してみました。
という訳で、この本の重点(と僕が思った部分)だけ抜き出して、要約してみます。
- 各自が勝手な話をしださないように場の空気を操る。
- ゴールを明確に定める。
- 話すべき論点を明確かさせ
- 停滞・対立には思い切って踏み込む。「事実」をベースにして話し合う。
- 空中戦・思考停止ワードを避けて、事実をあぶりだす。
- 参加者を観察し、ニーズに敏感になる
他の部分は、あまりにも難しそうなので、覚える必要は無いでしょう。笑
そんで、会議の集束と発散を意識するとなお良いようです。
- 集束:出たアイデアから絞ってゆく作業
- 発散:アイデアをとりあえず出す作業
著者は、結局18の心得・技術を挙げた後に、自身で重要な4つだけでまとめています。
それが、
- ゴールを意識する
- ホワイトボードの前に立ち、とにかく書く
- 論理構造を頭の中で考える
- 愛をもって接する
の4つ。
この4つは、手帳にでもメモっとくかね。笑
ただ、本書のホワイトボードの使い方の部分は興味深いのですが、学生間の会議だと黒板やホワイトボード等は使えない事多いので、残念だけど自分で応用する場合には却下。
でも、それ以外の3つは非常に重要。
学生間だと、1と3のどちらかが抜けるパターンが多いので注意したいと思います。
そして、最後に「愛があればなんとかなる」。
これ、すごい大事。
史上最強の人生戦略マニュアル(フィリップ・マグロー)
人生の法則①《ものが分かっているか、いないか》
自分が勝負する土俵を、本当に理解しているか?
自分は嫌でもその土俵で勝負していかなければならない。
<万人に共通する10の特徴>
①全ての人が一番恐れるのは、「拒絶される」事である
②全ての人がいちばん必要としているのは、「受け入れられる」事である
③人を動かすには、相手の自尊心を傷つけない、もしくは、くすぐるようなやり方をとらなければならない
④人は皆―例外無しに―どんな状況にさしかかっても、「自分はどうなるのだろう?」という不安を、少なくともある程度は抱く
⑤人は皆―例外無しに―自分にとって個人的に大事なことを話したがる。
⑥人は、自分が理解できることだけに耳を傾け、自分の中に取り入れる
⑦人は、自分に好意を持っている人を好み、信じて頼る
⑧人はしばしばはっきりとした理由もなく行動する
⑨上流階級の中にも、料簡の狭いつまらない人間がいる
⑩全ての人には―例外無しに―「外面」がある。あなたは、その仮面の向こう側にあるものを見なくてはならない。
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自分の経験に当てはめると、本当だなと感じました。
それなのに、自分は他人に対して違う行動をとり続けてきたな、と感じました。
例えば、①②を読めば、議論の最初から相手と正面衝突する方法は(例え意見が真っ向から食い違っていたとしても)良くないでしょう。
あと、⑥を考えると、まず相手が分かるまで説明を続ける事も大切なようですね。
相手が分からないなら切り捨てる、という精神は最低レベルのところでは必要だと思いますが(でないと何も共有できない)、その最低限さえ満たしていれば、後は我慢してもいいのかな~と感じました。
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人生の法則②《人生の責任は自分にある》
今、何かに対して不満を持っているのならば、その結果に対する責任は自分にある。
もし本当に自分に責任が無いのだとしたら、自分がそれに対して不満を抱く必要は何も無い。
ただ、責任が自分にあるのなら、その結果を生んだ行動に振り返ってしっかりと考えてみれば、どうやって改善すれば良いか分かる。
自分自身の問題は、自分自身にとってのみの問題であるので、他人は気にかけてくれない。
結局は、自分が何とかしなければならない。
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なんか、めっちゃパワーがある本です。
早く読みきろう~!っと
2008年10月17日金曜日
世界金融危機(金子勝、アンドリュー・デヴィッド)
この本を読もうと思ったきっかけは、経済学部生としてサブプライムを発端とする現代の金融危機について知識があまりにも不足しているという問題意識があった事でした。
そういうアンテナを張った状態で新聞・テレビ・雑誌などを眺めていたら、テレビ番組でこの本が紹介されているのをみつけました。
都内某書店の売上1位(テレビでは書店名は公開されなかったけど、おそらく丸善日本橋店)となっていたので、次の日に即買いでした。
ちなみに、買ったのは紀伊国屋書店横浜店、最後の1部でした。
まず、驚いたのが長さ。
70ページくらいしかないんです。
でも、金子勝氏が書き続けていた色々な書籍の総まとめのような形だった事もあり、内容が非常に充実してて、ビックリでした。
本を読むくせがついてない人にはちょうどいい内容・長さだと思うので、すごい勧めます。
内容については…
サブプライム危機の解説が分かりやすかったです。
各金融機関が、リスク資産のリスク度合いの算定を格付け機関に頼っていた現状を知り、恐ろしいなと感じました。
なんで、どこの会社もリスクに気づかなかったんだろう?
リスクに気づく格付け会社が現れて、誤った情報を発信している格付け会社が淘汰されてもいいはずなのに。
あと、「影の銀行システム」についての説明も、非常に明快でした。
証券会社などが信用を供給できるようになったという、体制シフトも一つの要因のようです。
一番印象の残ったのは、「次にどうなるか?」に関する著者の見解。
金子氏の著書『閉塞経済』にあるように、石油の時代が終焉、環境問題、などを受けて、新しい経済の在りかたが問われているのだと感じました。
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アメリカドルの、非常に大きな危機を迎えています。
不動産市場を安定させるには、ある程度の国債を発行せざるを得ない。
ただ、イラク戦争関連で莫大な出費を既にしているし、これ以上の国債が果たして発行できるのか?という問題がある。
アメリカの国債は、中国・ロシア・中東諸国といった、アメリカの同盟国とは呼べない国々によって支えられている、という現状があって非常に怪しい。
そろそろ機軸通貨がEUになる時代が来るんですかね?
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もう一つ印象に残ったのは、石油とグローバリゼーションについて。
石油価格上昇⇒輸送費の上昇⇒モノのグローバリゼーションの縮小
という構図が描かれていました。
僕の感想は、カネのグローバリゼーションが拡大していった結果、モノのグローバリゼーションが縮小していくのは非常に皮肉な結果で、残念な事に思えます。
日本は内需に頼るだけの経済力は残っていないのに…
2008年10月16日木曜日
READING HACKS!
「本を読む」という事について書かれている書籍はたくさんありますが、本を読む事に慣れていない人の視点にも配慮して書かれている物は少ないのではないでしょうか?
『READING HACKS!』に影響を受けて、これからやってみようと思った事は次の通りです。
・70:20:10の法則:専門分野の本を7割、周辺分野を2割、その他を1割の配分で読む。
僕の場合だと経済学部生なので、世の中のお金の流れについて7割、マーケティング・財務諸表関連・環境問題・法律などの領域に2割、芸術・文化・小説などその他の本を1割ですかね?
関連の無い分野を少し入れると新しいアイデアが生まれやすいという事実には気づいてたんだけど、入れすぎるとピンボケするから悩んでたんだよね。
金額的な割合の目安として参考にします。
・ブックダーツを使ってみる
早速明日買ってこようと思います。使い心地はどうなんだろう?良かったら、また取り上げますね。
・著者の声を聞く・ウィキペディアで著者のエピソードを読む
本に付随する情報が多ければ多いほど、色々な情報が頭の中に入っていいかな~って思います。
これは、読んだ瞬間になるほど~という感じでした。
・行動のための読書をする
大学生なので、知識だけ貯めればいいかな~って気がしてたんですが…。この点は重要かもしれないですね。
僕は研究者にはならないので、将来どのような職業に就きたいのかを考える・経済の行く末を考える、など自分となんらかの形で結びつく知識を身につける場としての読書が大事かな~と感じました。
・読書の7割を垂直型読書に投資する
自分は○○については詳しいです、っていうのを、就職活動までに作れたら強いですよね。
そして、それは自分にとって凄い強みになると思います。
プロフェッショナルな知識を目指していきたいです。
・友人に図書の感想を送ってみる
自分の周りの友人も読書について興味を持ってると思うし、自分が良かった本を薦めた事をきっかけに交友関係が広がっていったらいいかな~と思って。
どうせブログにもアップするんだし、手間も大きくはかからないし得かな~なんて思ってます。
いずれにしても、読んでビビッときたら、すぐ実行する事が大事ですね。
三日坊主にならないように頑張ります。
ブログ開始
昔、ブックカードを作ろうかなと考えたのですが、アナログだとかさばるし、保存が大変だし、引き出すのはもっと大変だし、非効率かなと思って止めてました。
一時期、ちゃんとプデジタル保存できるブックカードをプログラミングしようと試みたのですが、面倒であえなく断念。でも、ブログという手段がある事にこの本を読んで気づきました。
これから、僕が読んでよかったと思えた本の概要・学んだ事・関心を持った事などについて書いていきます。