2009年5月17日日曜日

『なぜあのリーダーに人はついていくのか』(中谷彰宏)

なぜあのリーダーに人はついていくのか
なぜあのリーダーに人はついていくのか中谷 彰宏

ダイヤモンド社 2008-06-13
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この本は、リーダーにはどのような行動が求められているか、を説明した本です。

ここで言うリーダーとは、ビジネスにおいて一つの部署を管轄するような人、つまり中間管理職的な感じでしょうか。

「達成感を与えよう」とか、「相談されやすいリーダーになろう」とか、共感できる部分も多い一方、

「ナンバー2を育てよう」「当たり前のこと、も伝えよう」とか、

少し独特なリーダー像の説明がなされていました。

そういうリーダー像もありかな、という程度に捉えられる人にとっては、大いに参考になる本。

一方で、本に書かれている事を鵜呑みにする人には少し危険な本かもしれません。

でも、一つの考え方として、知っておいても良いかな。

そんな本です。




『3年間は「言いなり」になりなさい』(内田雅章)

3年間は「言いなり」になりなさい
3年間は「言いなり」になりなさい内田 雅章

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star映画イエスマンを思いださせる本・・・今日から何事も「イエス」でがんばろうと思える本

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本のタイトルは奇抜ですが、著者の主張としては、

「自分の希望を捨てて、人のためになる事を徹底的にしなさい。」

という事です。


この本の特徴なんですが、著者が「人脈」というものをどこまでも意識している点です。

人間関係がいかに大事か、という事を、それこそ徹底的に説いています。

色々な人に話したけど、高校時代の僕は

「自分が優秀であるための努力をしていれば、誰かが自分に気づいてくれて、そこから世界が開ける」

という、市場経済的なというか、いかにも自己中心的な考え方をしていました。

でも、今考えてみると、「優秀」っていうのが主観的な価値だったんですね。

当時は、親・先生などに褒められたり、友達に「すごいね~」って言われるのが遣り甲斐だったわけですが、

大学の成績のように一つの軸で良し悪しが判断される事は社会には無いわけで、

相手に良いように「自分」が変化してゆかなければならない。


この本のタイトルと主張は少し乖離していて、

本当の主張である「人のためになる事をする」ためには、

タイトルにあるような「言いなり」以上の事をやらないと駄目ですよね。

言葉には出てこないような、深いところにあるニーズにも対応しなければならない(フロイト的ですが)。

「言いなり」ができていないと、それ以上の事もできないけど。


内田さんの本だと、こちらの『すごい!人間関係力』

すごい! 人間関係力
すごい! 人間関係力内田 雅章

PHP研究所 2008-05-02
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にも、影響を受けました。


「人脈」という言葉は、個人的には「実利」的な意味合いがあるので嫌いなのですが、

「人」というのを意識して生活してみようと思います。


こちらの本も、前の本に引き続き、

「自分はGoing my wayに進んで、価値を見出す!」

というような、モチベーションの高い、個人主義な人に読んで欲しいです。


『まずはフツーをきわめなさい』(伊達直人)

まずはフツーをきわめなさいまずはフツーをきわめなさい
伊達 直太

WAVE出版 2009-04-18
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自分が特異な存在であるとかいう考え方を捨てて、

「フツー」な感覚に追随しなさい、という主張の本です。

仕事・家族・お金・趣味・健康の5つの面から、フツーとは何かを考えます。

この本が素晴らしいのは、色々な情報のデータが載せられている事。

結婚相手との平均交際期間は4.1年とか、

日本のエンゲル係数は23%とか、

「フツー」な人はどのような生活をしているか、を上手く捉えている。

「日本の普通」を絶賛して終わるのかと思ったら、

ワーク・ライフバランスを取り上げて、

日本はワークの改善をする前に、ライフの改善を考えるべきだ、

と主張してみたり、

日本のメタボ検診の基準は世界基準から外れているのに、なぜ皆はそれを「フツー」と感じるのか、

と主張してみたりして、面白かったです。

主張の中には、

「Aは日本のフツーであるので、追随すべし」

という主張と、

「Bは日本のみのフツーであり、ゆがんでいる」

という主張と、それぞれのバランスが取れていて面白い。

それが、僕のような人の価値観とマッチするから不思議。


特別な事をしよう!という人にこそ、一度読んでほしい本です。

自分が否定しようとしている「フツー」とは、どのような物なのか、本当に分かってますか?

僕は、「何でもフツーにこなせる人間+α」を目指そうと思いました。

2009年5月4日月曜日

『千原ジュニアのシャインになる君へ!』

千原ジュニアのシャインになる君へ!
千原ジュニアのシャインになる君へ!千原ジュニアのシャインになりたい!編

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以前出演したテレビ番組が、本になった物です。

縁あって、一冊頂きました。

放送を見たい人はその時のブログを見てください。

この番組の良いところは、色々な意見を集約している事。

ワークスアプリケーションズの牧野さんは、あとがきの部分で
『この本に登場している人たちの言っていることはすべて同じメッセージなんだということを酌みとって欲しいですね。』(p.284)
と言っていますが、僕もその通りだと思います。

人によって表現方法が違うし、行動だけ見たら間逆の人もいるけど、根幹にある意識の在り方は同じだと思う。

そういえば、トルストイの名言
「幸せな家庭は互いに似ている。不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である。」(『アンナ・カレーニナ』より)
を思い出させられました。

ちなみに、リーダー塾(高校生の時に参加したプログラム)でも、最終日に「皆、メッセージは同じ」とか言われたような・・・。

今の若者は、「幸せの在り方は多様だけど、不幸の成り方は一つ」だと思ってるんだと思う。

基本的に、資本主義である限りは、「お金が無い=不幸」という世の中の構造は変わらないしね。


ちなみに僕は、
「幸せの在り方は一つであり、不幸のあり方も一つである。その間で彷徨う人たちは、それぞれの方法で彷徨っている」
のだと思う。

皆さんはどう思われるだろうか?


この本は、就活やる人向けの本なんだけど、20代後半の、すでに働いているような人にオススメします。

そういう人は、一通り経験を積んでるし、ある程度資力もついてるだろうから、モチベートされればリスクが取れると思うからね。

『動的平衡』(福岡伸一)

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか
動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか福岡伸一

木楽舎 2009-02-17
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star一気に読ませる魅力がある本
star生体や生態系は、非線形非平衡開放系における動的な秩序構造としてとらえられる。
star心地よさだけでは 危ういかもしれないと思いながら

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生命とは何か、という事を真剣に考えさせられる本です。

実は、以前紹介した『生物と無生物のあいだ』も、福岡さんの著書です。

この本を読むと、「全体とは、個々の総和以上の何かである」という、ホーリズム的な思想を科学的に受け入れられる気がします。



生物学は、高校以来触れていないけど、やっぱり「生命を考える」ってステキだな、って思います。

物理学が個々の物体の動きを捉えようとする学問ならば、

生物学は全体から個々の物質の動きを理解しようとする学問。

経済学だと、ミクロとマクロに対応するのかもね。

とはいっても、現代のマクロ経済学は、全てミクロ的なモデルを基礎に持っているので、物理学的。

生物学的な経済学って、作れないのかな?

と、これは経済学を学んでいる人間の発想ですね。笑


この本の素晴らしいところは、生物学の最前線の研究までをも分かりやすく説明した上で、そこに著者自らの見方が表現されている事。

生物学の教科書にあるような、事実の羅列・暗記とは無縁で、「見方」が前面に押し出されてるのが良い。

生物学が専門ではない人にオススメの本です。

『人を動かす』(デール・カーネギー)

人を動かす 新装版
人を動かす 新装版デール カーネギー

おすすめ平均
stars読めば読むほど味が出る本
stars一部のポイントだけを抜粋して読むなら良い本
stars他人に動いてもらうためにはどうすればいいのか
stars真の成功とは何か?
stars間違いなく良書です!

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どのようにすれば、人に動いてもらえるか、

コンフリクトを起こさずに人をまとめられるか、について書かれた本です。


書かれている事は、

「言われてみれば当たり前なんだけど、言われないと気づかない」

ような事ばかり。


これを全部実行できてる人がいたとしたら、畏れを覚えるほどに尊敬します。

ロジックではなく、「感情」の次元に抵触しないように、上手く身をこなす。

今の自分に足りない事が書かれてる本でした。


何回も何回も読み直して、それでも新しい発見があるような良書です。

忙しくて、全てをこなすので精一杯になってる人こそ、読んで欲しい本です。

あと、人をまとめる立場になった人も、きっと役立つと思います。

2009年4月13日月曜日

『大学時代に学ぶべきこと、学ばなくてよいこと』(鷲田 小弥太)

大学時代に学ぶべきこと、学ばなくてよいこと (PHP文庫)
大学時代に学ぶべきこと、学ばなくてよいこと (PHP文庫)鷲田 小弥太

おすすめ平均
stars的外れな気がする

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通学中に読みました。

鷲田さんは倫理・哲学系が専門で、教養を非常に大事にされる方です。

「教養人」と呼ばれるような人たちの書いた文章って、

論理展開が雑で、結構決め付けが多いので、あまり好きではありません。

たとえば、
  • 早稲田大学は遊ぶ人が多い
  • 札幌大学はレベルが低いからダメだ
とかいう、先入観から議論を始めたり、
  • かつての大学は、同年齢層の1割くらいの数の学生を相手にし、しかも、そのさらに一割、つまり、同年齢層の1パーセントに対して顔を向けていればよかった。(p.34)
というような場所が議論の出発点になっていて、

なかなか主張に賛同しにくい感じがしました。

WHY?と問うても文中に答えがないので、

この本を読んで鷲田さん自身から学ぶというのは難しい感じです。

こういう大胆な仮定をおいておいて議論を展開し、

仮定が間違っている事に気づいたら、

「私の主張は進化している。私は、間違いに気づいたらすぐに訂正できる、知識人なのだ。」

というような事を平気で言えるんだろうな。


ただ、論理的思考能力がない人が読んだら、全部同調させられて終わりそう。

僕の感覚だと、日本人の多くが論理的思考能力があるとは思えないので、

この本が売れているとしたら、少し怖いです。


まぁ、本書には良いメッセージも込められていて、学ぶことがたくさんあります。

「大学の講義に対して、『楽しもう』という意識が無ければ、それは楽しい物にはならない。」

とか。

一人の人の意見として、ざーっと読み通すのに最適な本かもしれませんね。