2008年12月14日日曜日

『1997年―世界を変えた金融危機』(竹森俊平)

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) (朝日新書)1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) (朝日新書)
竹森 俊平

朝日新聞社 2007-10-12
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久しぶりの更新になりますね。

この本は、ゼミ選択の候補であった竹森ゼミの先生についてよく知ろうとして買いました。

内容は、金融危機をナイトの不確実性という観点から分析した物。

ナイトの不確実性っていうのは、

リスク:確率分布は分かるが、結果に不確実が伴う物。

ナイト流不確実性:確率分布すら分からない物。

って感じかな。

経済が発達していれば、リスクは上手くヘッジされているために、リターンと均等化するように価格調整が行われるはず。

しかしそれでも経済に利潤が存在するのは、不確実性に対する挑戦を行う起業家の存在がいるから。

っていうのが、大まかな主張かな。

ナイトは、そのような人々を

無尽蔵のエネルギーと底抜けの楽観主義を持ち、物事全般について、そして特には自分の能力について高い信頼を置いた人々

とか、
莫大な金額を稼げるかもしれないわずかなチャンスを誇張して考える傾向がある

と、分析しています。少し軽蔑してみている感じですかね。

まぁ、こらへんは"Risk,Uncertainty and Profit"を買ったので、近いうちに読んでみましょう。

竹森さんの主張は、

我々の世界は「不確実性」に包囲されており、その領域に踏み込まない限り、ニュー・ビジネスはおろか生産活動全般が成り立たない(p.100)


から、不確実性に挑まざるを得ず、そうすると強気・弱気によって相場が乱高下する自体が起こり、それが金融危機の本質である、という事ですかね。

『ナイトの不確実性』に直面すると、人間はいついかなる時でも、中長期的な資産から安全で流動的なものへの持ち替えを図るものであります。(p.141)


といった感じで。

金融危機とかに興味ある人は、面白いから読んでみるといいです。

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