2008年12月26日金曜日

『遊ぶ奴ほどよくデキる』(大前研一)

遊ぶ奴ほどよくデキる!遊ぶ奴ほどよくデキる!
大前 研一

小学館 2005-07-01
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友人が「私の短所は遊び心が無いところ」と言ったのが引っかかってて、「遊ぶ+成功=大前研一?」という事で買ってみました。笑

読んでみた感想ですが、さすが大前さん。

予想を超えて、めちゃくちゃ遊んでました。

僕とは対極の生活スタイルで、学ぶ事も多かったです。

「1時間語れないものは趣味とはいえない」とか書いてありましたが、僕は音楽について1時間語れるかというと、ビミョーですね。苦笑

それ以外に特に趣味っていうと…

って考えた時点で、自分ってつまんない人間だな~って思っちゃいました。

来年の目標にしよっか。

「1時間語れるくらいの趣味を3つみつける」ってね。笑

働いてる大前さんより、大学生の僕の方が遊んでない…と思っちゃったくらい。笑笑

とにかくフリーで、遊ぶ時はめちゃくちゃ遊べ~!って感じの本。

対象年齢が30~40代のビジネスマンっぽいけど、

忙しくて遊ぶヒマが無い人、人生楽しみたいと思ってる人にオススメです。

『欧州連合―統治の論理とゆくえ』(庄司 克宏)

欧州連合―統治の論理とゆくえ (岩波新書)欧州連合―統治の論理とゆくえ (岩波新書)
庄司 克宏

岩波書店 2007-10
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EUに関する専門書はたくさんありますが、その多くが初学者には難しい専門的な法体系について書かれた物か、ユーロや経済問題にのみ注目した本です。

そんな中、珍しくEUの仕組み・抱える問題を、俯瞰して書かれている本がこちらです。

僕は来年の春に、パリ政治学院に行くのですが、そのプログラムの事前研修の参考文献にもなっていました。

事前研修前に読み終わっていたけどね。

国家同士の統合がどれだけ難しいか、どのような点で問題が生じているか、がものすごく良く分かります。

アメリカについて書かれた本は多いですが、EUについての本は少なく、なかなか知識が付きにくいと思うので、

グローバルに活躍したい!という方は是非読んでみてください。

『暴走する資本主義』(ロバート・B・ライシュ)

暴走する資本主義暴走する資本主義
雨宮 寛 今井 章子

東洋経済新報社 2008-06-13
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社会的に望ましい状態は資本主義と民主主義が共存する状態であるが、現実には資本主義が肥大化してしまい民主主義を圧迫している、という主張の本です。

要約すると…

まず、独占企業が社会的存在となって経済発展に貢献してゆく「黄金時代のような物」がある。

ここでは、企業はカルテルや談合によって競争を逃れながら安定的な利益を得て、その一部を労働者にも還元するために、社会全体が円滑に回る。

そこで、技術革新、競争促進によって、従来の独占企業は談合・カルテルを禁止され、また参入障壁が小さくなる。

すると、他企業が市場に自由に参入できるようになり、市場競争が激化する。

また、投資が活発化し、投資家の要望に応えるために各企業は利潤最大化をせざるを得なくなる。

これにより、第一の問題として、低賃金により高収益を稼ぐ企業が増えてしまう。

また、利潤を得るためには消費者の要望に応える必要があるため、企業は頑張って魅力的な商品を作り出す。

すると、第二の問題として、ジャンクフードを大量に売り出したり、性・暴力の描写を行う企業が増えてしまった。

このような問題は政治(=民主主義プロセス)によって規制されるべきだが、企業はロビー活動を行って政治の世界をゆがめ、自分たちの競争優位が確保できるように政治を誘導してしまった。

これによって、いつのまにか投資家・消費者としての私たちの力が増し、市民としての我々の力が急速に弱まっていった。

これを「超資本主義」と呼ぶ。

CSR活動というのも、社会問題を解決するべく政治が行動し始めた時に、企業自身が「自分たちで解決します」というアピールをして政治を誘導する手段である。

このように、超資本主義においては、企業はルールに則った範囲内でいかなる手段をも利用して(スポーツなどと同じように)利潤を追求するのである。

といった感じかな。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

実は、大学1年の時に「企業はなぜCSRを行うのか」という研究を個人的にやった事があったり、

資本主義と民主主義の関連について考えてたり、とまぁ偶然が重なったので、非常に自分の関心と合致してて良かったです。

一般的に経済学では、「市場競争は資源の最適化を行い、政治はそれの再分配機能を果たす」といった説明で終始していますが、現実とはかなり違うなと感じていました。

著者はこの点に関する洞察が鋭く、資本主義が民主主義を支配している、という結論を得ています。

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要約には書きませんでしたが、ライシュは最終的に

「企業は人ではない(中略)企業は法的擬制であり、契約書の束以外の何者でもない。」(p.297)

と考え、故に

「間違った人格化の結果、性格には人間に帰属しているはずの義務と権利が企業にも与えられている。そしてこのことが資本主義と民主主義の境界をあいまいにし、悪い公共政策につながっている。」(p.298)

と主張し、最終的に企業に人格を認めるべきでないとしています。

なかなか大胆な発想ですね。

ところで、法人格というのは、19世紀ドイツにて論争が起こったんです。

大きく分けて3つの主張があったのですが、

1つ目が「法人擬制説」で、これは法律上の目的のため(財産権を認めるなど)に擬制された主体であるという解釈。

2つ目が「法人否認説」で、これは法人は仮想された主体にすぎず、現実には財産管理団体と受益者の間に法的な関係が存在するだけ、という解釈。

3つ目が「法人実在説」で、企業は法人格を与えられるに適し、またそれを必要とする社会的実態であるという解釈。

確か、論争の明確な決着はついていなかった気がするのですが…。

ライシュの立場は2の「法人否認説」ですね。

3の立場に立てばCSRは真の「社会的責任」として容認できるし。

ちなみに僕は1です。

「法人」は財産権などを与えられるという理由のみで「人」であり、それ以外では「人でない」とした方が分かりやすいから。

そして、企業は「個人的倫理観を持った投資家の資金の集まり」であると考えています。

つまり、消費と同じように、投資にもhappy(効用)がある。

個人単位では、多少の配当を我慢してでも、市民としての自分の欲求を達成した方が嬉しいんだと思う。

だって、「ポルノ作ってる会社に投資してる」とか「労働者搾取してる会社に投資してる」って嫌だもん。

そして、消費者としての僕達も、「この商品は労働者を搾取して作られた」と考えれば少し高くても我慢するよね。

そういう人たちが集まって社会を作れば、超資本主義の問題は解決できると思うんだけどな。

とりあえず、勝間和代さんが言うように、一度読んでおくべき本の一つです。

政治・経済全般に関心ある人は是非読んでみてください。

2008年12月16日火曜日

『資本主義と自由』ミルトン・フリードマン

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)資本主義と自由 (日経BPクラシックス)
村井 章子

日経BP社 2008-04-10
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絶対自由主義の視点から見た、経済学の有名な古典です。

自由主義とは、市場に任せるのが一番良いという思想なのです。

ただ、市場に任せても上手くいかないケースがあるので(外部効果・公共財・独占などの特殊ケース)、この場合は政府が介入をしましょう、という感じで、様々な社会問題に関する「望ましい政策」について書かれています。

興味深いのは、郵政改革・教育バウチャー・社会保障制度など、現代でも政策論議の対象になるような話題が扱われている事。

経済学の視点で、これらの政策の是非を分析していて、読んでる途中は古典だと忘れてしまうほどでした。

フリードマンは、

・自由と平等が互いに共存するのは難しい事

・外国為替市場は変動相場制が望ましい事

・関税を撤廃した方が、自国・他国ともに利益がある事

などを、1962年の段階で考えてたんですね。

もう、脱帽です。

経済学ってどんな学問?って思ってる人は、この本を読むと、経済学の主流な考え方(ちょっと古いけど)についての理解が深まるから、多少主張が強すぎる部分を割り引いて読むと良いと思います。

また、現代の政策に関心がある人は、古典経済学者が50年ほど前に、似たような問題に取り掛かってたことを頭の片隅においておくと良いでしょう。

経済学部生は、一回は読みましょう。

非常に読みやすく、論理展開が一貫していて理解しやすいと思うので、是非是非。

2008年12月14日日曜日

『1997年―世界を変えた金融危機』(竹森俊平)

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) (朝日新書)1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) (朝日新書)
竹森 俊平

朝日新聞社 2007-10-12
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久しぶりの更新になりますね。

この本は、ゼミ選択の候補であった竹森ゼミの先生についてよく知ろうとして買いました。

内容は、金融危機をナイトの不確実性という観点から分析した物。

ナイトの不確実性っていうのは、

リスク:確率分布は分かるが、結果に不確実が伴う物。

ナイト流不確実性:確率分布すら分からない物。

って感じかな。

経済が発達していれば、リスクは上手くヘッジされているために、リターンと均等化するように価格調整が行われるはず。

しかしそれでも経済に利潤が存在するのは、不確実性に対する挑戦を行う起業家の存在がいるから。

っていうのが、大まかな主張かな。

ナイトは、そのような人々を

無尽蔵のエネルギーと底抜けの楽観主義を持ち、物事全般について、そして特には自分の能力について高い信頼を置いた人々

とか、
莫大な金額を稼げるかもしれないわずかなチャンスを誇張して考える傾向がある

と、分析しています。少し軽蔑してみている感じですかね。

まぁ、こらへんは"Risk,Uncertainty and Profit"を買ったので、近いうちに読んでみましょう。

竹森さんの主張は、

我々の世界は「不確実性」に包囲されており、その領域に踏み込まない限り、ニュー・ビジネスはおろか生産活動全般が成り立たない(p.100)


から、不確実性に挑まざるを得ず、そうすると強気・弱気によって相場が乱高下する自体が起こり、それが金融危機の本質である、という事ですかね。

『ナイトの不確実性』に直面すると、人間はいついかなる時でも、中長期的な資産から安全で流動的なものへの持ち替えを図るものであります。(p.141)


といった感じで。

金融危機とかに興味ある人は、面白いから読んでみるといいです。

2008年12月6日土曜日

『良い経済学 悪い経済学』 ポール・クルーグマン

世の中の経済に関する主張が、あまりにも経済学の基礎から離れている、という問題意識に基いて書かれた本です。

世の中、法律については法律の専門家が、技術については理系の専門家が、という風に、重要な役割は専門家が引き受ける事が多いのですが、経済だけは無知の人が動かしている。

世の中には「俗流経済学」が蔓延っていて、正しい経済学に基く結論が無視されつつある、といった感じでしょうか。

具体的には、「国際競争力」というような表現ですかね。
新興国の台頭によって、先進国の国際競争力が低下しつつある

などといった話は、正統派経済学の理論に反します。

なんだけど、それを誰もが当たり前のように信じているっていう…。笑

「経済学部なのに知らなかったの~?」は笑い話ですが、国のトップが間違えれば笑えません。

でも、皆が俗論を信じちゃってるから、正しい理論が間違っているように認識されるという…。

三面等価の原則とか、簡単なM-Fモデルの触りを知っているだけで、世の中にある「間違った理論」に気づけます。

勉強は…3~5時間もあれば十分かな。笑