大学時代に学ぶべきこと、学ばなくてよいこと (PHP文庫) | |
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通学中に読みました。
鷲田さんは倫理・哲学系が専門で、教養を非常に大事にされる方です。
「教養人」と呼ばれるような人たちの書いた文章って、
論理展開が雑で、結構決め付けが多いので、あまり好きではありません。
たとえば、
- 早稲田大学は遊ぶ人が多い
- 札幌大学はレベルが低いからダメだ
とかいう、先入観から議論を始めたり、
- かつての大学は、同年齢層の1割くらいの数の学生を相手にし、しかも、そのさらに一割、つまり、同年齢層の1パーセントに対して顔を向けていればよかった。(p.34)
というような場所が議論の出発点になっていて、
なかなか主張に賛同しにくい感じがしました。
WHY?と問うても文中に答えがないので、
この本を読んで鷲田さん自身から学ぶというのは難しい感じです。
こういう大胆な仮定をおいておいて議論を展開し、
仮定が間違っている事に気づいたら、
「私の主張は進化している。私は、間違いに気づいたらすぐに訂正できる、知識人なのだ。」
というような事を平気で言えるんだろうな。
ただ、論理的思考能力がない人が読んだら、全部同調させられて終わりそう。
僕の感覚だと、日本人の多くが論理的思考能力があるとは思えないので、
この本が売れているとしたら、少し怖いです。
まぁ、本書には良いメッセージも込められていて、学ぶことがたくさんあります。
「大学の講義に対して、『楽しもう』という意識が無ければ、それは楽しい物にはならない。」
とか。
一人の人の意見として、ざーっと読み通すのに最適な本かもしれませんね。