2009年2月13日金曜日

西洋芸術の旅

僕のブログ(http://toshikikanamori.blogspot.com/)を見てくださってる方は既に知っていると思うのですが、明日から一ヶ月間フランスに行きます。

という訳で、実はひそかに西洋芸術に関する知識を色々勉強してました。

なんせ、中学・高校で習った世界史は殆ど忘れてるもんですから、そりゃ大変でした。

クラシック音楽は大好きなので、曲を聴けばショパンと分かるのですが…

それがどれくらい前の時代なのか、どんな意味を持つのか、なんかは分かんないですね。

これだと、「いい曲だったね~。」くらいなもんで、人と会話が続かない。笑

しかも、パリにはルーブルやオルセーを中心に、有名な美術館が沢山あるのですが、美術に関しては知識ゼロ。

という訳で、西洋芸術に関する本を読みまくってたのですが、その中で良かった2冊を紹介します。

一冊目はコチラ。

教養のツボが線でつながるクラシック音楽と西洋美術 (青春文庫)教養のツボが線でつながるクラシック音楽と西洋美術 (青春文庫)
中川 右介

青春出版社 2008-06-09
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これは、主な作曲家・画家の歴史を簡単にたどった文庫本。

何も知らなくてもすら~っと読めて、大筋がつかめるので、入門者に良い本です。

ただし、この内容を知識として暗記しようとすると大変。

僕は60時間くらいかかって、7割くらい覚えました。笑

「教養のツボ」というタイトル通り、専門的になりすぎずに、また知識の詰め込みにもならずに、歴史のつながりを意識して書かれてるのが良いです。

二冊目はコレ、

西洋美術101鑑賞ガイドブック西洋美術101鑑賞ガイドブック
神林 恒道

三元社 2008-09
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この本は、渋谷のBunkamuraの書店でみつけました。

一冊目の本は、芸術史を理解する事が中心だったのに対して、この本は一つ一つの美術作品を鑑賞するための本って感じです。

見開き1ページに美術作品が一つと、それに対する解説がある感じです。

こういう本を読むと、芸術=感性ではなく、芸術を本当に理解するためには相当な知識が必要であるってのが分かる。

ダヴィンチもベートーヴェンも過去の人だから、彼らは過去の人たちによって評価されたわけだし、その素晴らしさを理解するためには時代背景を知らないといけない。

理系のいわゆる理論書だと、

「この分析手法は、後述する○○法に効率の面で劣るため、現在は実務では使われていない。だが、その歴史的な役割を鑑賞するために、ここには簡単に要約を載せておく。」

とかいう文章をたまに見かけるけど、芸術の場合はこの「歴史的な役割」が鑑賞の醍醐味の一つ。

見て素晴らしいと感じる事も大切だけど、やっぱり知識なんですね。

本当に感じさせられました。

でも、これでルーブル行っても楽しめそうです。笑

2009年2月4日水曜日

『榊原式スピード思考力』(榊原英資)&『コミュニケーション力』(斉藤孝)

まず最初に榊原英資さんの『榊原式スピード思考力』を。

榊原式スピード思考力
榊原式スピード思考力榊原 英資

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stars先輩の言葉
stars特に目新しい事は書かれてませんでした
starsこの人の他の本のほうが面白いです
stars嫌な奴
stars読みやすい。同じジャンルを読むならこれ。

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頭を上手く使えるようになりましょう、というテーマで色々とテクニックというかポイントが書かれている本です。

「常に逆の立場で考える」とか、「異分野に興味を持とう」とか、言われてみれば当たり前の事。

でも、これら全てできる人がいるかというと、それはなかなか難しいと思う。

そこが榊原さんの凄いところで、当たり前の事を当たり前のようにやる。

特に目新しい事は書かれてませんでした」というコメントもありますが、

そういう当たり前の積み重ねが力になるんだろうな~、と感じさせられました。



次に、斉藤孝さんの『コミュニケーション力』

コミュニケーション力 (岩波新書)
コミュニケーション力 (岩波新書)斎藤 孝

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stars齋藤孝のコミュニケーション論
stars必要性に迫られたら…
stars単なる紙資源の無駄
stars理想の対話のあり方を再確認しよう
starsお買い得

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この本は、コミュニケーションをいかに上手くするか、といった事をテーマに書かれた本。

コミュニケーションとは意味・感情のやりとりである、と定義した上で、
コミュニケーションし、感情を交し合い、考えを語り合う。それ自体が人生の目的なのである。(p.49)
と主張して、「相手の目を見る」「相槌を打つ」といった基礎的な事の重要性を説いています。

また、筆者は、

コミュニケーションの基本かつ奥義は、「沿いつつずらす」ことである。相手の話に沿うことなく、自分の話ばかりをし続けるのではコミュニケーションとは言えない。また逆に、相手に同意ばかりしているのでは、話が展開しない。(p.136)
と、コミュニケーションの本質は「沿いつつずらす」にあるという主張を展開し、そのための具体的テクニックについて述べています。


この二冊はたまたま同時期に読んだのですが、ディベートに関する意見が正反対だったので、ここで紹介したいと思います。

榊原英資さんは、ディベートを行う事は思考訓練として非常に効果があるので、学校などで積極的に薦めるべきだ、という意見を持っています。

情報を駆使して自分の論理を構築する訓練ができ、相手を説得したり、相手の論理の矛盾点を突くようなトレーニングができる、と説明しています。(p.59)

これは、本人が直接言っているのも聞いた事がありますし、他の著書にも書かれているので、榊原さんの本心なのだと思います。

一方、斉藤孝さんは、ディベートでは論理性は大切にするが、相手の気持ちを汲み取ることはなされないため、コミュニケーション能力が向上しない、と考えています。

論理力の低い者同士のディベートでは単なる水掛け論になりやすい事や、論理的な能力を駆使して論点をごまかして相手を言い負かす事になりかねない事などから、ディベート形式の授業には反対しています。

その上で、斉藤孝さんは、
本当に求められている能力は、相手の言いたいことを的確につかむ能力である。(p.10)
や、
何を大事だと思うか、何を正しいと思うか、という価値判断がまず先にあって論理が構成される。(p.12)

という考えを持っているようです。

これに対し榊原さんは、

説得するためにはどうしても論理に加え感性的なものも必要になってきます。(p.81)

と認めた上で、

論理と好き嫌いの感情は切り離せ(p.78)

と言っています。

この二つの視点の違いは、「考える事」を主題に置くか、「コミュニケーション」を主題に置くか、だと思います。

僕は、榊原さんが、

仕事において「一〇〇パーセント人を信じる」ということをできるだけしないように勤めていこうとします。だから私は、人とべったり付き合うということがあまり好きではありません。(p.76)

と言っているところに本質があると思います。

僕の仮説ですが、

榊原さんは、仕事上の目標を第一に捉えているというか、ロジック至上主義という感じなのに対して、

斉藤さんは、人間関係を第一に捉えていて、非常に人間的な考えを持っているのだと思います。

そう考えると、何となく両者の主張に納得ができます。

僕は榊原方式に近い部分があったのですが、最近は斉藤さん方式になろうとしてるのかもしれません。

だから、『榊原式スピード思考力』を読んで、やっぱり凄いな~と感じてから、

『コミュニケーション力』を読んで、やっぱりこういう方向性を目指したいな~と感じました。

まぁ、どちらも良い本だと思うので、是非読んでみてください。

『榊原式スピード思考力』は、頭を普段使わないような「Enjoy!」をモットーとしてる人に、

『コミュニケーション力』は、人間関係に行き詰まりを感じている人にオススメです。